「今までの仕事が、AIに代替される。AIに代替されて削減できた人件費は、残った従業員の賃金アップに向けられる。設備投資にも向けられるが、賃金アップもするだろう。」
上のような意見をみつけた。違う目的で参考資料を集めていたが、この意見について疑問を持った。
これまでについて
機械化によって必要のなくなった仕事、少ない労働者でまかなえるようになった仕事がある。ここ100年くらいをみても、数え切れないほどある。
企業側から見てみる。たとえば、機械化によって数百人分の労働力が必要なくなった。なら、その数百人をリストラする。それだけの話なのだ。リストラ後の再就職をサポートしてくれる企業もあるが、現時点では少数派だろう。
日本のなかでは、トヨタが分かりやすい。機械化によって浮いた賃金は、内部留保にまわっている。トヨタで働いている人は、平均よりも給料は高いかもしれないが。
例外があった
アメリカのフォード社では、トヨタの例とは異なることが起きていた。賃金が上昇したのだ。当時、日給が2ドル34セントから倍以上になりました。
この出来事は素晴らしいことです。これからの日本、世界でも起こって欲しいことです。
ただ、フォード社の賃金上昇には、過酷な労働環境で労働者が半数以上も辞めてしまったという原因があります。労働者が辞めていなければ、賃金はそのままだったかもしれません。
儲かるようになったから、自発的に社会に還元する企業は皆無と言っていいでしょう。
これからの日本では
嫌な仕事なら辞めてしまえばいい、と考える人がどのくらいの割合でいるのか正確な数字は分かりません。でも、過労死などの問題がでてくることから、その割合は少なくないと思います。
となると、フォード社のようになることは望めません。
また、企業は「辞めても新しい人を雇うだけ」と考えているでしょう。
どうするのか
労働人口の減少の問題がありますが、どこかで転換点きます。技術革新は加速度的に進むからです。ここ数年で解決する必要のある問題ではないことが逆に怖いですね。
AIによって代替される仕事がでてきます。徐々にではありますが。失業者が増え、いずれは社会問題になるでしょう。こうなる現実を目の当たりにするまでは、放置されるのではないかと考えています。
冒頭の注意でも書いたのですが、現状でこの問題について現実的な解決策をもっている人はいないでしょう。
ただ、考え続けなければいけない問題です。過去にあったように問題が深刻化し、すぐに解決できる方法として戦争が選択される可能性があるからです。
追記として…(2019/2/23)
イタリアのボローニャ大学の研究では、価格設定のアルゴリズムに強化学習を用いたAIを利用すると、「談合」を始めることが分かりました。それも、まったく証拠が残らない形で。
企業側から見ると、すごく美味しい話です。今の3大キャリアのように、儲かり続けるでしょう。しかし、消費者から見ると困った問題です。
もし企業側がこの価格設定AIを利用する場合は、従業員の賃金についても適切な金額に上昇させる必要があります。賃金上昇を担うAIが実現可能なら、この価格設定AIは有能になり得ると思う。
おーわり