配偶者控除で最大2,110万円非課税!贈与税軽減の方法と注意点を解説

 

はじめに

贈与税の配偶者控除は、一定の条件を満たすことで、贈与税が大幅に軽減される制度です。配偶者間で資産を譲り渡す際に、贈与税が課される場合がありますが、この控除を適用することで負担を軽減し、家庭の資産形成を促進する目的があります。この記事では、贈与税の配偶者控除の基本的な仕組みや適用条件、注意点について詳しく解説します。


贈与税の配偶者控除とは?

贈与税の配偶者控除とは、配偶者から不動産や金銭の贈与を受ける際に、一定の条件を満たす場合に限り、最高2,000万円までの控除が適用される制度です。この控除は、夫婦間の資産移転を促進し、家庭の財産を有効活用するために設けられています。

さらに、基礎控除の110万円と合わせて、合計2,110万円までの贈与が非課税となります。この制度を活用することで、将来的な相続税対策にもつながります。


贈与税の配偶者控除の適用条件

贈与税の配偶者控除を受けるには、以下の条件をすべて満たす必要があります。

1. 婚姻期間が20年以上であること

夫婦が婚姻関係にある期間が20年以上であることが条件です。婚姻期間のカウントは、婚姻届を提出した日から始まります。

2. 贈与の対象が居住用不動産またはその取得資金であること

控除の対象となるのは、居住用不動産(自宅)またはその購入資金です。具体的には、土地や建物、購入のための現金が含まれます。

3. 贈与を受けた年の翌年3月15日までに居住を開始し、その後も引き続き居住する見込みがあること

贈与を受けた不動産に実際に住むことが求められます。購入資金を受け取った場合は、その資金で購入した家に住む必要があります。

4. 過去に同じ配偶者から配偶者控除を受けていないこと

この控除は一生に一度しか利用できません。同じ配偶者から複数回控除を受けることはできないため、慎重に活用する必要があります。


贈与税の配偶者控除の計算方法

贈与税の配偶者控除を適用する際の計算方法は以下の通りです。

1. 贈与財産の価額を算出

まず、贈与された財産の価額を計算します。不動産の場合、固定資産税評価額を基準に計算します。

2. 基礎控除の110万円を適用

贈与税には、基礎控除として年間110万円が設定されています。この金額はすべての贈与者に共通して適用されます。

3. 配偶者控除の2,000万円を適用

贈与財産の価額から基礎控除110万円を引いた残額に対して、さらに配偶者控除2,000万円を適用します。

4. 残額に税率を適用

配偶者控除を適用した後に残った金額があれば、それに対して贈与税の税率を適用します。


贈与税の配偶者控除の具体例

例1: 配偶者から1,800万円の不動産を贈与された場合

  • 贈与財産の価額:1,800万円
  • 基礎控除:110万円
  • 配偶者控除:2,000万円

計算結果:
1,800万円 – (110万円 + 2,000万円) = -310万円(課税対象額なし)

この場合、贈与税は発生しません。

例2: 配偶者から3,500万円の不動産を贈与された場合

  • 贈与財産の価額:3,500万円
  • 基礎控除:110万円
  • 配偶者控除:2,000万円

計算結果:
3,500万円 – (110万円 + 2,000万円) = 1,390万円(課税対象額)

課税対象額1,390万円に対して、贈与税の税率を適用して計算します。


贈与税の配偶者控除を活用する際の注意点

1. 不動産の登記が必要

贈与を受けた不動産は、必ず登記を行う必要があります。登記を怠ると、控除の適用が認められない場合があります。

2. 贈与税の申告が必要

配偶者控除を適用するためには、贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までに、税務署に贈与税の申告を行う必要があります。

3. 贈与後の住居要件

控除を受けるためには、実際に居住することが求められます。購入資金を受け取った場合も同様です。

4. 一生に一度しか利用できない

贈与税の配偶者控除は、一度利用すると再び利用することはできません。そのため、適用のタイミングを慎重に判断する必要があります。


贈与税の配偶者控除のメリットとデメリット

メリット

  • 配偶者間の資産移転が容易になる
  • 最大2,110万円まで非課税で贈与が可能
  • 将来的な相続税対策に有効

デメリット

  • 条件を満たさない場合は適用不可
  • 一生に一度しか利用できない
  • 贈与税の申告や登記手続きが必要

まとめ

贈与税の配偶者控除は、夫婦間で資産を移転する際に非常に有効な制度です。特に、老後の生活基盤を整えるためや、将来的な相続税対策を考える際に大きな役割を果たします。ただし、適用条件が厳格に定められており、一生に一度しか利用できないため、制度を活用する際は計画的に行うことが重要です。

贈与税や配偶者控除に関する具体的な相談は、税理士やファイナンシャルプランナーに相談することをお勧めします。