所得補償保険は本当に必要?メリットだけでなくデメリットも解説

 

所得補償保険は、万が一のケガや病気で働けなくなった場合に、所得を補うための保険として注目されています。しかし、すべての人にとって「最適な保険」とは言い切れず、デメリットや注意点も存在します。この記事では、所得補償保険のデメリットについて、具体的かつ分かりやすく解説します。


1. 所得補償保険の基本的な仕組み

所得補償保険は、働けなくなった際に収入の減少をカバーするための保険です。一般的には、被保険者が病気やケガで就業不能となった際、保険金が支払われる仕組みです。

  • 補償対象:病気やケガでの就業不能
  • 支払額:一定の割合で収入を補償
  • 保険料:年齢や職業、補償額に応じて設定

このように一見便利な保険ですが、デメリットも理解した上で加入することが重要です。


2. 所得補償保険のデメリット

2.1 保険金が100%の収入を補償するわけではない

所得補償保険は、収入の一部を補うものであり、通常、手取り額の100%をカバーするわけではありません。保険会社によっては、給与の60〜80%程度が補償の限度額とされます。

  • デメリット:日常生活の維持や貯蓄の確保が難しくなる可能性がある
  • :月収30万円の方が所得補償保険に加入しても、月18万〜24万円程度しか受け取れない場合がある

この点は、十分な貯蓄や別の収入源がない方にとっては大きな懸念材料となります。


2.2 就業不能の定義が厳しい場合がある

所得補償保険において、「就業不能」と認定される基準が保険会社ごとに異なります。一般的に、「全く働けない状態」が支払条件となるため、部分的に働ける場合は保険金が支払われない可能性があります。

  • デメリット:「就業不能」と認定されないと保険金が出ない
  • :デスクワークができる程度に回復した場合、保険金の支払いが停止される

このように、働ける状態の解釈によっては、想定よりも受け取れる金額が少ないことがあります。


2.3 免責期間が存在する

所得補償保険では、「免責期間」が設定されています。これは、就業不能となってから保険金が支払われるまでの待機期間です。

  • 一般的な免責期間:7日〜60日程度
  • デメリット:免責期間中の収入が途絶えるリスクがある

例えば、就業不能となってから1ヶ月の免責期間がある場合、その間の生活費は自分で賄わなければなりません。


2.4 保険料が比較的高額になる

所得補償保険の保険料は、補償額や免責期間によって大きく変わりますが、比較的高額になることが多いです。特に、以下の要素によって保険料が上がります。

  • 年齢:年齢が高いほど保険料が高額になる
  • 職業:リスクの高い職業(建設業など)は保険料が高い
  • 補償額:補償額を増やせば保険料も高額になる

長期間加入すると、支払う保険料が負担になるケースが多く、貯蓄で備えた方が有利な場合もあります。


2.5 他の補償制度との重複

日本には、公的な補償制度が複数存在します。例えば、健康保険の傷病手当金や労災保険があります。所得補償保険に加入していても、他の補償制度と重複して受け取ることはできないケースがほとんどです。

  • 傷病手当金:給与の3分の2を最大1年6ヶ月受け取れる
  • 労災保険:業務中のケガや病気に対する補償
  • デメリット:公的制度でカバーできる範囲が広いため、所得補償保険が不要となる場合がある

自分の状況や働き方に合わせて、補償が本当に必要かどうかを慎重に判断する必要があります。


2.6 契約更新時の条件変更リスク

所得補償保険は、定期的に契約を更新するタイプが多く、その際に条件が変更されるリスクがあります。例えば、以下のようなケースです。

  • 年齢が上がることで保険料が高くなる
  • 健康状態によって更新を拒否される

特に健康状態に不安がある場合、保険金を受け取れないリスクが高まるため注意が必要です。


3. 所得補償保険に加入すべき人とは?

デメリットを理解した上で、所得補償保険が必要かどうかを判断するポイントを紹介します。

必要な人

  • 自営業者・フリーランス:公的な傷病手当金が適用されない
  • 貯蓄が少ない人:生活費の確保が難しい
  • 高リスクな職業に就いている人:ケガや病気の可能性が高い

不要な人

  • 会社員で傷病手当金を利用できる人
  • 十分な貯蓄がある人
  • 他の保険(医療保険・生命保険)でカバーできる人

4. まとめ:デメリットを踏まえて検討する

所得補償保険は、万が一の収入減少に備える有力な手段ですが、以下のようなデメリットが存在します。

  • 収入の100%をカバーできない
  • 免責期間や条件が厳しい
  • 保険料が高額になることがある
  • 公的補償と重複する可能性がある

これらのデメリットを理解し、自分の状況や将来のリスクを考慮して、加入を判断することが大切です。特に、他の公的制度や保険とのバランスを確認し、必要に応じて専門家に相談することをおすすめします。

所得補償保険は、加入前の情報収集と適切な比較が重要です。最適な選択をするために、保険内容をしっかりと理解し、自分のライフスタイルに合った備えを行いましょう。