大学生必見!奨学金の種類、受給条件、返済リスクを詳しく解説

 

日本の奨学金制度は、多様なバックグラウンドを持つ学生が教育の機会を得られるように設計されています。その中核を担うのが日本学生支援機構(JASSO)であり、大学、専門学校、高等専門学校などに通う学生を対象に支援を行っています。また、地方自治体、民間団体、大学独自の奨学金制度も充実しており、幅広い選択肢が用意されています。


奨学金の種類

奨学金は大きく分けて以下の2種類に分類されます。

1. 給付型奨学金

給付型奨学金は、返済の必要がない支援です。近年、日本では給付型奨学金の拡充が進められており、2022年度のデータでは、JASSOが給付型奨学金を提供した学生は約20万人にのぼります。主な対象は、経済的に困難な家庭の学生であり、所得制限などの条件があります。

2. 貸与型奨学金

貸与型奨学金は、卒業後に返済が必要な制度です。JASSOの貸与型奨学金は、「第一種奨学金(無利子)」と「第二種奨学金(有利子)」の2種類があります。2022年度のデータでは、貸与型奨学金の利用者は約70万人であり、そのうち無利子型が約40%、有利子型が約60%を占めています。


奨学金受給率

日本の高等教育における奨学金受給率は年々増加傾向にあります。2022年度のデータでは、大学生の約50%が何らかの奨学金を受給しています。特に、私立大学に通う学生の受給率は公立大学に比べて高い傾向があります。具体的には以下の通りです。

  • 私立大学生:約60%
  • 国公立大学生:約40%

貸与型奨学金の利率

貸与型奨学金のうち、有利子型(第二種奨学金)の利率は固定金利または変動金利の選択が可能です。2023年度の利率は以下のようになっています。

  • 固定金利:0.4%~0.8%(平均)
  • 変動金利:0.1%~0.5%(平均)

これらの利率は市中金利に基づき変動しますが、学生ローンと比較して非常に低い水準で設定されています。


返済状況と延滞率

2022年度のデータによると、JASSOの貸与型奨学金の返済状況は以下のようになっています。

  • 返済延滞率:約3.3%
  • 返済完了率:約90%(貸与終了から20年以内)

特に、経済的な理由で返済が困難な場合には、所得連動返還型制度や返済猶予制度などの支援策が用意されています。


給付型奨学金の対象条件

給付型奨学金の対象となる学生は、家庭の所得制限や学業成績基準を満たす必要があります。2022年度では、以下のような基準が適用されています。

  • 家庭の年収:世帯年収380万円以下が主な対象
  • 成績要件:高校在学中の評定平均が3.5以上

また、給付金額は学校の種類や居住形態に応じて異なります。

  • 自宅通学:月額2万円~3万円
  • 自宅外通学:月額3万円~4万円

地方自治体と民間団体の奨学金

JASSO以外にも、多くの地方自治体や民間団体が独自の奨学金制度を運営しています。例えば、東京都では「東京奨学金」、北海道では「北海道未来基金」などの制度があり、地域特性や産業分野に特化した支援が行われています。

民間団体による奨学金では、企業が特定の学問分野を対象に給付型奨学金を提供するケースが多く、特に理系分野の学生が対象になることが一般的です。


奨学金の課題

日本の奨学金制度には多くの課題も存在します。

1. 返済負担

有利子型奨学金を利用した学生が返済に苦労するケースが増えています。平均的な貸与総額は大学4年間で約300万円となり、返済期間が長期化する傾向があります。

2. 情報の不足

奨学金制度についての情報が学生や保護者に十分に伝わっていないことが指摘されています。その結果、本来利用できる制度を見逃すケースが多いと言われています。


まとめ

日本の奨学金制度は、多様な学生に教育機会を提供する重要な役割を果たしています。給付型奨学金の拡充や貸与型奨学金の利率低減、返済支援策など、学生を取り巻く環境は改善の方向に向かっています。一方で、返済負担や情報不足といった課題も残されており、制度のさらなる改善が求められています。